投稿

6月, 2024の投稿を表示しています

道迷いを防ぐための地形図遊び3 高尾山北尾根バリエーションルート

イメージ
今回は、高尾山北麓、北尾根とも呼ばれる地域のピンポイント話題です。 登山道としては整備されていないので、道は不明瞭です。 そういう地域では、地形図による下調べが必須です。 私の場合は、元々地理知識が豊富なこともありその下調べがとても楽しくて、地形図の下調べ自体が目的と化してしまいこのようなブログを書いているわけです。 (国土地理院のweb地図に作図して、正式の手順で引用しています) https://maps.gsi.go.jp/development/ichiran.html ここですね。 一般的な登山道が周囲にあり、その形がまるでひし餅のようなひし形の空白地域です。 こういう場所を見ると、調べてみたい探検したいというワクワクな気持ちが湧いてきます。 赤い線、青い線を書き込みました。 赤は尾根、青は谷を表しています。 これだけでも、地形が目に浮かんできます。 高尾山から9本の尾根(5本の支尾根を含む)が出ています。 尾根は、登山道とくに下りの登山道に最適です。 谷も、登山道とくに登りの登山道に最適です。 登山アプリのサイトで調べると、このうち踏み跡のある尾根ルートは、4つありました。 地図の、A・B・C・Dです。 このうちAルートは、かなり多数の登山者が行き来している場所で、上がっている動画を見ると踏み跡を通り越して道になっています。 B・C・Dは、まだまだマイナーなルートです。 Bルートを見ましょう。 1地点で、行き来の多いAルートと分岐します。 Aルートは、明確な尾根なので分かりやすいです。 それに対しBルートの西方向はよく分かりません。しかし、それまで直進してきたので、そのまままっすぐ行けばいいだけです。 3地点でDルートと分岐します。 Dの尾根のほうが明確ですが、B方向も入り口は不明確ですがその先は明確な尾根です。 その後は北への分岐尾根を選択しないように気をつけながら、西に下っていきます。 一般登山道に出る降り口へは、最後の自然の分岐点で直進せずに、北北西方向にターンして進みます。 しかしこの降りる所は、かなり急傾斜の模様です。行き来している人が少しいますが、大丈夫なのでしょうか? ここにあるX点は、東南東に登りかけて断念したという踏み跡です。 南東に進路を取れば、登れるルートがあるみたいです。 道が無いようなルートなので、この方向の見定めはかなり難しいと

道迷いを防ぐための地形図遊び2 鈴鹿山脈の雨乞岳から南東のバリエーションルート

イメージ
今回は、1200メートル級の山について調べます。 道迷い遭難をよく起こすことで有名な、三重県と滋賀県の県境の鈴鹿山脈を採り上げます。 (地理院地図に、ブログ主の私が赤や緑や青色や黒色で作図したものです) https://maps.gsi.go.jp/development/ichiran.html 道迷いをしやすいということで、地図・コンパスを使うのに目安となる磁北線も入れてあります。 地形図で見ると、一見歩きやすそうな尾根道です。尾根の上は鋭くなく、ときおりピークがあるアップダウン起伏の繰り返すところです。 ただ登山道は、整備されていません。 ここは、バリエーションルートだからです。 東雨乞岳から東に進む黒い破線が見えると思いますが、それが登山者がよく利用する一般的な登山コースです。 ここでは、西端の雨乞岳から、東端のいっぷく峠・沢谷峠に下る方向で、このバリエーションルートの道迷い危険度を調べたいと思います。 雨乞岳から東雨乞岳へ至る道は、細い尾根上にある一般登山道でこれは分かりやすと思います。 東雨乞岳から北に少し行き、東に折れる道が、一般登山道です。 そしてバリエーションルートは、この山頂から南西方向に降りるルートですが。 ここの自然の分岐点は、正直、地図を見ただけでぞっとするような不明瞭さです。 踏み跡だけでは、まったく分からないでしょう。 ただ南西方向にルートが定まっているので、選択肢は多くないです。東北東の尾根に行く道と間違わなければ、大丈夫でしょう。 ここの下りは、道が有るようで無いので、時々行く方向を確かめる必要があります。 明確な尾根、明確な谷沢がまったくないので、これは大変です。 この右下の、谷沢が両方から切れ込んでいるところを確認すれば、一安心です。 そのコルを過ぎたところに、三人山があります。2つのピークで成り立っている山です。 ただその2つのピークは、どこにあるか分かりにくいでしょう。 各種山アプリの踏み跡を見ると、三人山の北のピークから北へ、東へと行く人が少なくありません。 いずれもかなりの急斜面で、途中であきらめて登り返しているようです。 バリエーションルートの中でも比較的確立したルートは、三人山の南のピークから、東の不明瞭な尾根を渡り、その先の不明瞭な谷沢に降りて、東に平坦に延びた尾根道に進むところです。 この平坦尾根の東端に達したら

道迷いを防ぐための地形図遊び1 高尾山の東にある権現平272メートル

イメージ
(引用地図のなかの黄色以外の色部分は、すべてブログ主が作図したものです) https://maps.gsi.go.jp/development/ichiran.html 何を書こうかといろいろ錯綜していましたが、ようやく方針が固まりました。 有名な山ではなくいわゆる低山で、人が比較的少ないので踏み跡が少なく道迷いしやすい場合のルートの見極めを、あらかじめ地形図で調べておくというテーマにします 。 取り上げる題材は、かなりローカルでピンポイントなものになります。 ただ読むことにより、地形の見極め方が少しは習得できるのではと思います。 今回は、前に地形調べで取り上げた東京都町田市西端の大戸の近くに広がる低山で、その中の権現平というピークを目指す行程となっています。 この緑色を付けた場所が権現平で、登るルートとしてはヤマレコなどの情報を見ると、黄色い自動車の通る道を北上し、送電線のある辺りから山に入っていくというのが定番のようです。 それ以外のルートとしては、西の山から縦走するルートや、南の大戸から登って行くバリエーションルートもあります。 なお北から登るルートは開拓されていないようです。北には拓殖大学のキャンパスがあるからでしょう。 例によって、地図に作図しました。 赤い線が尾根、青い線が谷沢です。 緑の太い線が今回検討するルートで、赤い大きなマーカーが目標値です。 このルートは、権現谷の北の山の稜線をたどっていくルートになります。 南からのバリエーションルートは、権現平の南西に延びる尾根伝いに上がっていくものです。 赤いマーカーをいっぱいつけました。ポイントになる箇所です。 ここは、地形が変化する場所です。とても楽しい場所ですが、実は危険と隣り合わせです。 そこは、自然の道が複数交差する自然の分岐点になっています。分岐ですから、選択を間違えるととんでもない方向に行ってしまいます。 樹木が伐採されていれば見通しがききますが、普通樹木がいっぱいで見通しはありません。見ると広葉樹林地帯なので、針葉樹林のような下部の見通しがありません。 この分岐点では、地図とにらめっこしてルートを選ぶ必要があります。 ただここのルートは意外と整備されていて標識も各所にある模様なので、それほど心配ではないようです。 マイナーなルートですがヤマップにも登山記録が上がっており、ハイキングをする人が

登山準備地形図遊び4 高尾山稲荷山ルート

イメージ
登山の目的は人それぞれで、山頂をがむしゃらに目指す人もいれば、花や風景を楽しむ人、足腰の鍛錬が目的の人、みんなで一緒にワイワイ目的の人もいます。 私は、ここが尾根でここが谷でここで道が分岐しているとかという地形や行程の変化を楽しむ派なので、たぶんかなり少数派でしょう。 そして私がさらにマニアックなところは、行く前に、あるいはまったく行く予定もないのに、地形図でルートを調べその細かい地形の変化を想像して楽しむというところでしょう。 このブログは、そういう私の主観に偏った独断と偏見に基づく超マニアックな趣味を書いています。 実際の状況とずれたり違ったりするところは、ご容赦ください。 実際の登山では、参考程度にとどめてください。 さて今回は、比較的メジャーな山を見てみようと高尾山を選んでみました。まずは、その最南端、稲荷山ルートの検証です。 正確なところは、いろいろ動画も出ているのでそちらを見てください。 さっそく作図をしています。 この地図は、国土地理院のwebサイトに載っているものに、私が作図をし、そのサイトの「共有」ツールで画像を保存しここに掲載しているものです。なおスクリーンショットをすることは法的に禁止されています。 https://maps.gsi.go.jp/development/ichiran.html 清滝駅から分岐し、南の尾根に上がり尾根のピークを順々にたどっていくルートです。ラストは、高尾山への登りになります(階段が設置されています)。 緑色は、小さな山頂。ピークといいます。 赤い線は、主尾根や分岐する尾根。 青い線は、谷沢。点線は、不明瞭という意味です。 赤いマーカーは、地形が変化する場所、つまりビューポイント(私の個人趣味的な)です。 作業をしている間も、すごく楽しいです。いろいろな地形の変化が、想像できるからです。 アップされている動画でそれを見てみると、自分の地形見極め能力を再確認できます。 もちろんこの後に実際に行けば、楽しみは最大限に広がります。 <拡大して検証> 清滝駅から左にそれて、最初に川を渡ります。 この川を渡るということは小さな行動ですが、感慨深いものがあります。 川は、この世とあの世の境目ともいわれます。日常生活と山が、ここではっきりと区別されています。 川を渡るとすぐに尾根に登ります。 そして尾根の上を急登。80~90メー

登山準備地形図遊び3 東京都町田市、大戸緑地付近の低山

イメージ
「いつも思うけど、あの山、どんな山なんだろう?」 そんな疑問を解決しようというわけで、気になる無名の低い山々を地形図で調べてみる企画です。 かなりローカルでピンポイントです。 今回は、東京都にある高尾山のちょい東側にある、こんもりとした低山にスポットを当ててみようと思います。 町田市の西端です。 (町田市のJR町田駅前。北側) ここです。町田市西端。 大戸緑地という自然公園が、あります。 奥のほうには、青少年センターというアスレチックやキャンプができる施設があります。 東に、法政大学の多摩キャンパス。 北に、拓殖大学の八王子国際キャンパスがあります。 見た目は、普通のこんもりとした低山です。 山の標高は、神奈川県境は300メートルを超えていますが、それ以外はだいたい250~300メートルの間です。 南端に境川が西に流れていて、ときおり洪水を起こす恐れがある模様です。 堺川付近の標高は180メートルくらいで、この付近に住宅が密集しています。 ゆえに日常生活目線から見た山々の実質高さは、70~120メートルといったところです。 さて、国土地理院地図に作図していきましょう。 https://maps.gsi.go.jp/development/ichiran.html まずはちょっと高い所を緑色でマークして、次に谷沢を青い線でなぞりチェックします。 こんもりとした低山だと思っていたら、意外と川や谷沢が多数存在しています。 青い太い線は、川幅が広いので地形図上に載っている川。 青い細い線は、川幅が狭いので地図に載らない川や谷・沢。 2本の太い川とその支流で、地図上がいっぱいになっています。 この多数の水流から、この付近は土質が柔らかいのか水流が激しいのかどちらかあるいは両方の理由により、谷沢が鋭く大きく山に刻まれていることが分かります。 大雨や豪雨の時は、土砂災害に警戒が必要と思われます。 (町田市のハザードマップを見ると、この2つの川の流域が警戒区域になっています) 次は、尾根を赤い線で書き加えます。南北に引いている赤い線は、磁北線です。 こんな狭い地域なのに、とても複雑な起伏に富んだ山容です。 この地域の北端の、権現谷と呼ばれる辺りです。 畑が広がり、農業をされている人が多い模様です。住居がある辺りの標高は200メートルです。 地図に載るような幅の広い川が奥のほうから流

登山準備地形図遊び2 青麻山(宮城県)(2)西側ルート

イメージ
 (このブログで引用する地図は、国土地理院の地図にブログ主が作図をくわえたものです。引用方法はスクショではなく、正式の引用方法を採っています) https://maps.gsi.go.jp/development/ichiran.html 青麻山の西側の北半部 青麻山の西側の南半部 ここは、国土地理院の地形図には、登山ルートの記載がありません。 しかし青麻山への西側からの登山者は、かなり多いようです。むしろ、東側より多いくらいです。それは、ここから西に蔵王連峰を一覧できるからです。 西側は、他のいろいろな山々に連なっていて、縦走を楽しむことができます。 また青麻山の西にあるあけら山が、実は青麻山より標高が高いこともあります。 登山ルートとしては、青麻山の西の遠白分岐点を境に、北ルート、南ルートに分かれています。 北ルートは、北原尾登山口に降ります。 南ルートは、パノラマコース登山口に降ります。 なお最近、この南ルートの西側山腹で大規模な造成が行われ、地形が一変しています。太陽光発電施設が作られるとのことです。 <西側ルート北半部> 迷いポイント13か所を出しましたが、実際は踏み跡が明確で、かなり整備されています。 曲がり角を間違えなければ、スムーズにたどり着けるでしょう。 自然の分岐点「2」は、北に谷が下り、南に尾根が分岐しています。 「3」は、両側に谷が下っている場所で、青麻山とあけら山との間の鞍部です。 「4」が、あけら山の頂上で、北に尾根がありますが不明瞭なので迷うことは少ないでしょう。 「5」は、七五六山の降り口。ここから北に分岐する尾根があるので、それをたどる登山者もいるようです。 「6」にも、北西に分岐する尾根があります。 「7」には、南に分岐する尾根がぼんやりとあります。 「8」が、遠白分岐といわれる地点で、ここから北西ルートをたどれば北原尾登山口へ、南ルートをたどればパラコース登山口に行き着きます。 「9」からは、北に分岐する尾根がありますが、途中で途切れています。 「10」の分岐点、登山通常コースは西から北に直角にターンしています。 分岐を間違えると、西に行ってしまいます。たどりつけないこともないと思いますが、皆が通っていない道なので荒れていて歩けないことが多いと思います。 「12」の自然分岐点では、北への尾根が明確なのでそこをたどる登山者もいるよ

登山準備地形図遊び1 青麻山(宮城県)(1)東側2ルート

イメージ
ヤマップから2024年版の道迷いしやすい山が発表されたので、その山々(今年は24か所)について、地形図で検証してみようと思います。 国土地理院地図webに作図して https://maps.gsi.go.jp/development/ichiran.html 今回は、宮城県の青麻(あおそ)山。 ただヤマップの記事で見たところ、道迷いし易かったのは登山道の入り口手前の林道との分岐のようで、うーん・・・(笑) とにかく、この山の主な登山ルートについて、地形図で迷いやすいところはどこかチェックすることにしましょう。 (実際は、かなり整備されている模様で、迷うところはほとんどないみたいですが) 場所は、ここにあります。 西の山形県との県境に、樹氷で有名な蔵王山があります。 では、さっそく作図をしていきます。 地図を最大縮尺に拡大し、青麻山の頂上付近の等高線が閉じたところを、緑色の線でチェックを入れました。 このように私が地形図で山を調べるときは、ふもとからではなく、山頂から順に調べていきます。 このようにすると、山の全体像が分かりやすくなります。 また、下山中の道迷い遭難が多いことの対策にもなります。 山頂から3つの方向に、道が分岐しています。 登山道が3ルートあることを示しています。 それぞれの登山道を調べる前に、周辺の主なピークもチェックしておきます。 すると山の西側に顕著なピークがいくつかあり、その中には名前が付いているものもあります。 西側ルートは、縦走ルートだと分かります。 便宜上、各ルートに、A、B、Cと名前を付けました。 東側Aルート、東側Bルート、西側Cルートと呼んでおきます。 頂上に赤い大きなマーカーを記しました。 これは、3つの道が分岐する道ということで、登山道の分岐点という意味です。 <東側Aルート>                                      国土地理院の地形図に記されているルートは、この通りです。実際の登山道とは、少しずれているかもしれません。 「12」のマーカーがある所が、下別当登山口です。 頂上からふもとまでの間に、合計12個の赤いマーカーを付けました。 この12個は、いわゆる道迷いポイントです。 標識があれば問題ないのですが、標識が無いときは道迷いを起こしやすくなる地点です。 このルートには、12か所の道迷いポイ