登山準備地形図遊び1 青麻山(宮城県)(1)東側2ルート

ヤマップから2024年版の道迷いしやすい山が発表されたので、その山々(今年は24か所)について、地形図で検証してみようと思います。
国土地理院地図webに作図してhttps://maps.gsi.go.jp/development/ichiran.html

今回は、宮城県の青麻(あおそ)山。

ただヤマップの記事で見たところ、道迷いし易かったのは登山道の入り口手前の林道との分岐のようで、うーん・・・(笑)
とにかく、この山の主な登山ルートについて、地形図で迷いやすいところはどこかチェックすることにしましょう。
(実際は、かなり整備されている模様で、迷うところはほとんどないみたいですが)

場所は、ここにあります。
西の山形県との県境に、樹氷で有名な蔵王山があります。







では、さっそく作図をしていきます。
地図を最大縮尺に拡大し、青麻山の頂上付近の等高線が閉じたところを、緑色の線でチェックを入れました。

このように私が地形図で山を調べるときは、ふもとからではなく、山頂から順に調べていきます。
このようにすると、山の全体像が分かりやすくなります。
また、下山中の道迷い遭難が多いことの対策にもなります。

山頂から3つの方向に、道が分岐しています。
登山道が3ルートあることを示しています。

それぞれの登山道を調べる前に、周辺の主なピークもチェックしておきます。

すると山の西側に顕著なピークがいくつかあり、その中には名前が付いているものもあります。
西側ルートは、縦走ルートだと分かります。

便宜上、各ルートに、A、B、Cと名前を付けました。

東側Aルート、東側Bルート、西側Cルートと呼んでおきます。

頂上に赤い大きなマーカーを記しました。
これは、3つの道が分岐する道ということで、登山道の分岐点という意味です。






<東側Aルート>                                     














国土地理院の地形図に記されているルートは、この通りです。実際の登山道とは、少しずれているかもしれません。
「12」のマーカーがある所が、下別当登山口です。

頂上からふもとまでの間に、合計12個の赤いマーカーを付けました。
この12個は、いわゆる道迷いポイントです。
標識があれば問題ないのですが、標識が無いときは道迷いを起こしやすくなる地点です。

このルートには、12か所の道迷いポイントがあります。

「2」は、北のほうに尾根が分かれていて、その尾根との自然の分岐点をなしています。

「3」から「4」は尾根の南に沿った道です。
本来なら尾根が自然の道になるのですが、尾根は往々にして狭く尖っているので歩くには危険なことが多いのです。
誤って尾根に出たとしても、その鋭さやあるいは藪だらけといった状態で、登山道に戻ることになります。

「4」で、急に南東から南西へ90度ターンします。
なぜそのまま尾根を下らないのか?おそらく危険だからだと思います。ここを実際下っていく人は、ほとんどいません。

「5」で、またまた南西から南東へ90度ターンします。
ここから上を見ると谷になっていて、そのまま上がれそうな気がします。
これは登ってきたところここから谷が鋭くなって、やむなく右側の尾根に上がったというルート設定になったと思います。
ここで迷うとすれば、そのまま谷を登っていくパターンでしょう。ただ実際、ここを間違って登っていく人はほとんどいません。

「5」から「6」の間には谷の分流があり、その西のほうに登っていく間違いも起きるかもしれません。
「6」地点でも谷が分流し、分かれた北のほうにも登り口があるかもしれません。
この後の下流、「7」「8」「9」「10」「11」にも、北に谷の分流があり、自然の分岐点になっています。しかし実際入り込む人は、いないようです。

ただ「12」から南に分かれている谷に、「11」「10」付近から入り込む人が少ないですがいるようで、そのまま南側の登山ルートに行ってしまう踏み跡もあります。

以上、東側Aルートの道迷いポイントを解説しました。
ただこれらの選択をあえて理解して行っていれば、それは間違った選択ではありません。
遭難とは、現在自分がどこに居るのか分からなくなることだからです。


<東側Bルート>





























北に見えているのはAルートで、Bルートは南側のルートです。

国土地理院の地図では、2つあります。尾根筋のルートと、谷筋のルートです。
私は、尾根筋を選択しましたが、谷筋を行くのもありです。
ただ登山者の踏み跡は尾根筋に集中していて、南の谷筋を行き来する人はいないようです。

南北に長いので2区域に分けて解説します。















「1」「2」「3」は、尾根に沿うルートなので、迷うところはないと思います。
若干、尾根が分岐する気配もありますが、微かなものです。

「3」から「7」へは、斜面を斜めに下りて北隣りに分岐する尾根に渡っていくルートです。
ここは「3」「4」「5」で、道迷いの危険が少しあります。
人はまっすぐ平たんな道を行きたがる傾向があり、もし直進する平坦な(来た道と標高が同じくらいの)ほう(緑の線で記している)が開けていて、正しいほうが樹木で見えなくて標識が無いときは迷う恐れがあります。
「3」「4」は登りの時にまっすぐ行く恐れがあり、「5」は下りの時にまっすぐ行く恐れがあります。
道が整備されていれば、問題はありません。

「6」は、左右に谷がある場所です。
自分の現在位置が分かっていれば迷わないですが、分かっていないときは誤って谷を降りてしまう恐れもあります。

「7」は降りていく尾根が、正面と右の2方向にあります。
地図の上では、正面の尾根はぼんやりしていて、右の尾根が明確です。





















「8」は左に谷がありますが、尾根を降りるという意識をはっきりと持っていれば谷に降りることはないでしょう。
「9」までは尾根道で、明確です。

「10」「11」は、左右両側から谷が下る場所です。
ここを北に降りてしまう人が、少ないですがいるようです。
また北のAルートからこちらに迷い込んでくる人が、この谷を通って来ています。
もちろんあえて選択しているなら、かまいません。踏み跡といっても、人がどこを歩くかはその人の自由なのですから。

「12」には、無線中継局の建物があります。
最近ヤマップに出ていた迷い多発地点というのは、この先にある林道からAルートの登山口に向かう道への分岐が、どこにあるか分からないというものです。


これです。

下のほうの分岐点に標識が無いということです。

この連絡登山道みたいなところは、地形図に載っていないことから、誰かが後付けで便利になるように作ったか、何人かが次々に踏んでいって自然に開けたような気がします。

道を作った人がいるならその人が責任をもって標識を作るべきですが、自然発生的な道だと標識が無いのもうなずけます。

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