登山準備地形図遊び4 高尾山稲荷山ルート

登山の目的は人それぞれで、山頂をがむしゃらに目指す人もいれば、花や風景を楽しむ人、足腰の鍛錬が目的の人、みんなで一緒にワイワイ目的の人もいます。

私は、ここが尾根でここが谷でここで道が分岐しているとかという地形や行程の変化を楽しむ派なので、たぶんかなり少数派でしょう。
そして私がさらにマニアックなところは、行く前に、あるいはまったく行く予定もないのに、地形図でルートを調べその細かい地形の変化を想像して楽しむというところでしょう。

このブログは、そういう私の主観に偏った独断と偏見に基づく超マニアックな趣味を書いています。
実際の状況とずれたり違ったりするところは、ご容赦ください。
実際の登山では、参考程度にとどめてください。

さて今回は、比較的メジャーな山を見てみようと高尾山を選んでみました。まずは、その最南端、稲荷山ルートの検証です。
正確なところは、いろいろ動画も出ているのでそちらを見てください。
















さっそく作図をしています。
この地図は、国土地理院のwebサイトに載っているものに、私が作図をし、そのサイトの「共有」ツールで画像を保存しここに掲載しているものです。なおスクリーンショットをすることは法的に禁止されています。
https://maps.gsi.go.jp/development/ichiran.html

清滝駅から分岐し、南の尾根に上がり尾根のピークを順々にたどっていくルートです。ラストは、高尾山への登りになります(階段が設置されています)。

緑色は、小さな山頂。ピークといいます。
赤い線は、主尾根や分岐する尾根。
青い線は、谷沢。点線は、不明瞭という意味です。
赤いマーカーは、地形が変化する場所、つまりビューポイント(私の個人趣味的な)です。

作業をしている間も、すごく楽しいです。いろいろな地形の変化が、想像できるからです。
アップされている動画でそれを見てみると、自分の地形見極め能力を再確認できます。
もちろんこの後に実際に行けば、楽しみは最大限に広がります。

<拡大して検証>















清滝駅から左にそれて、最初に川を渡ります。
この川を渡るということは小さな行動ですが、感慨深いものがあります。
川は、この世とあの世の境目ともいわれます。日常生活と山が、ここではっきりと区別されています。

川を渡るとすぐに尾根に登ります。
そして尾根の上を急登。80~90メートルの標高差を100メートルの距離で一気に登ります。角度は40度。しょっぱなになかなかの登りです。

登りきった場所の右に、尾根が三方に分岐する地点があります。
そこに小さな神社があります。稲荷という名で、このルート名の由来でしょう。
ただここは開けているので、尾根を感じることは難しそうです。

そこからは尾根に沿ってルートが続いています。
「沿って」というところに、妙趣があります。尾根の上を直接歩かないで、その尾根(西に延びる赤い線)の少し南側に沿ってルートが通じているというところです。
尾根の上は往々に尖っていたりやせ細っていたりして危ないことが多く、その側面に道を通じることが多いというわけです。
ここでは進行方向の右側に常に、高いところがあるという景色です。感慨深いですね。

先の神社のところもそうですが、次の3尾根分岐点ピークもルートは登らず巻いていますね。
ルートは巻いているけど、もちろんここに登るのは自由です。















このピークを過ぎると、ルートは尾根の上に上がります。両側の谷への傾斜が急な、明確な尾根です。

その先にピークがありますが、ルートは南にずれてピークを避けています。
ここは、北側よりも南側のほうが傾斜が緩やかです。

そのピークを過ぎると、その次のピークとの間に鞍(あん)部があります。
これは、両側に谷が深く切れ込んでいる場所で、将来は完全に削れてルートが崩壊する場所です。その時は橋を架けるしかないですね。
南側の谷を見通すことができれば醍醐味ですが、実際は樹木に阻まれているでしょう。















407メートル標高の稲荷山。
ここも稲荷と呼ばれていますが、ここには稲荷神社はありません。
ここは、頂上に行く道と南側を巻く道があります。頂上には休憩できる場所があります。

東南東方向に明確な尾根が伸びています。
ルートが整備されていないと、迷い込んでしまいそうになるくらいの鋭い尾根です。
まあ鋭すぎて、尾根の上も尖っているでしょうが。

その後は、稲荷山の標高がそのまま延びている幅の広い平坦な尾根道です。
ハイキング気分になれる場所ですね。
南に谷が2本下っていますが、ここを趣味?で降りていく人もいるようです。

次のピークを過ぎると、いよいよ高尾山への登りの始まりです。















高尾山の東端尾根です。
ここのルートは、尾根の最高点その場所に敷かれています。
東に分岐する尾根がありますが、あまり明確でないので気がつかないかもしれません。















そして、いよいよ3つのルートが交わる分岐点です。
ここの分岐の角度が、とても小さいです。
少し左にずれる、少し右にずれる、その選択の違いで進んだ先が違う場所という。
分岐点は、人生に例えられます。小さな選択が、人生を大きく左右するという。

この分岐は、高尾山に登るなら南側の選択は無しです。行った先は、高尾山頂を巻く道です。
北側の道は高尾山頂の東(トイレの近く)に出るので、アリでしょう。
真ん中は、高尾山の見晴らし台に出ます。

分岐の後は、真ん中の道は主尾根から外れていきます。この辺りは階段化されているので、階段の段差に夢中になると地形の変化に気づかないかもしれません。















この尾根を南に避けたのは、何か理由があると思います。

そして巻いた後に、尾根の上に登りここから山頂への最後の登りです。
そこで、また3道分岐があります。
両側の道は、山頂に行きません。東側の道は薬王院へ、西側の道は大垂水峠を経て城山方面への道です。















尾根にしつらえられた階段を登って、山頂に到着です。
階段は地形の変化を感じさせない点でちょっと無粋ですが、地形の変化を感じるというのは危険と隣り合わせなので致し方ないのでしょうか。

以上、地形図の上でしたが、なかなか楽しい行程でした。

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