道迷いを防ぐための地形図遊び1 高尾山の東にある権現平272メートル

(引用地図のなかの黄色以外の色部分は、すべてブログ主が作図したものです)
https://maps.gsi.go.jp/development/ichiran.html

何を書こうかといろいろ錯綜していましたが、ようやく方針が固まりました。

有名な山ではなくいわゆる低山で、人が比較的少ないので踏み跡が少なく道迷いしやすい場合のルートの見極めを、あらかじめ地形図で調べておくというテーマにします

取り上げる題材は、かなりローカルでピンポイントなものになります。
ただ読むことにより、地形の見極め方が少しは習得できるのではと思います。

今回は、前に地形調べで取り上げた東京都町田市西端の大戸の近くに広がる低山で、その中の権現平というピークを目指す行程となっています。










この緑色を付けた場所が権現平で、登るルートとしてはヤマレコなどの情報を見ると、黄色い自動車の通る道を北上し、送電線のある辺りから山に入っていくというのが定番のようです。

それ以外のルートとしては、西の山から縦走するルートや、南の大戸から登って行くバリエーションルートもあります。
なお北から登るルートは開拓されていないようです。北には拓殖大学のキャンパスがあるからでしょう。


















例によって、地図に作図しました。
赤い線が尾根、青い線が谷沢です。
緑の太い線が今回検討するルートで、赤い大きなマーカーが目標値です。

このルートは、権現谷の北の山の稜線をたどっていくルートになります。
南からのバリエーションルートは、権現平の南西に延びる尾根伝いに上がっていくものです。
























赤いマーカーをいっぱいつけました。ポイントになる箇所です。

ここは、地形が変化する場所です。とても楽しい場所ですが、実は危険と隣り合わせです。
そこは、自然の道が複数交差する自然の分岐点になっています。分岐ですから、選択を間違えるととんでもない方向に行ってしまいます。
樹木が伐採されていれば見通しがききますが、普通樹木がいっぱいで見通しはありません。見ると広葉樹林地帯なので、針葉樹林のような下部の見通しがありません。
この分岐点では、地図とにらめっこしてルートを選ぶ必要があります。

ただここのルートは意外と整備されていて標識も各所にある模様なので、それほど心配ではないようです。
マイナーなルートですがヤマップにも登山記録が上がっており、ハイキングをする人が少なからずいるようです。

<地図を拡大して検証>














紫の線は、送電線です。登山の有力な目安になります。

出発点が標高207メートルで、目標地が270ないし272メートルとあまり差がありません。ただ最初の数百メートルに、60メートルを稼ぐいわゆる急登があります。これを乗り切れば、あとはゆるやかで平たんな尾根道です。

尾根に上がったら、他の支尾根に迷い込まないように気を付ける必要があります。
それまで直進していて急に曲がるようなコースの時は、人はつい直進方向に歩いてしまいますから。直進方向が暗く、間違った方向が明るい場合も、間違えやすいです。
低い山は人が少なく、整備されていないことが多いので、こういう間違いが起きやすいです。
ヤマレコなどでもここから下に下がりかけるという踏み跡が示されています。















この赤いマーカーを付けた部分は、地形の変化に富んでいます。
尾根だけでなく、谷もそこから分岐しています。道がカーブしているところには、下に谷が隠れています。















南の大戸緑地付近からの、バリエーションルートです。
南端の尾根縦走コースと、緑地公園駐車場から急登をするコースがあります。
南端のほうは、初期の80メートル急登が2つに分かれ間を置いてやってくるのに対し、
緑地公園駐車場からの急登は、最初の距離100メートルで角度40度で一気に来ます。














尾根に上がった後は、バリエーションルートならではの選択が難しい自然の分岐点に気を付けながら頂上に向かいます。

なお南の縦に細長い建物の横を通り、谷からアプローチし段木入のピークから北へ縦走していくコースも、あります。
この場合は、ます段木入の下の谷を上がり、途中で尾根の上にターンするコースを取っているようです。
この谷は、登るとしたら100メートルの距離で標高差120メートルを登る角度50度の急傾斜です。川登りが目的の装備ならいけるでしょうが、普通のハイキングでは無理ですね。










段木入から権現平への縦走路です。
鋭い谷が切れ込んでいて、特徴があります。













(明らかに登山なのに、ハイキングと言っている人がいます。体力脚力のある人にとっては、低山登りはハイキングだと思うようです)


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