東京都の山々 市道山

東京都民以外にはあまり馴染みのない、マイナーな山です。
「でした」というほうが良いかもしれません。ここ数年の間に利用者が増加しています。動画も数本以上挙がっているのを、確認しました。
最近は低山ブームというのがあり、その影響かもしれません。

地図は、国土地理院のweb地図に作画して引用しました。(以下の引用も同様)
https://maps.gsi.go.jp/development/ichiran.html

このブログでは、高尾山から始まり、まずは笹尾根を紹介し、次に高尾山の北に並ぶ山々を紹介してきました。


今回の市道(いちみち)山は、檜原村・あきる野市にあります。
標高795メートル。
























登山ルートは、ふもとから直接登る安全確実なルートがありません。
(北北西に延びるヨメトリ坂ルートがありますが、点線で示している通り不明瞭です)

ただ、バリエーションルートが東西にあり、各種登山アプリの記録や動画などからほぼ安全なのではないか?という想像ができそうです。
しかし整備された笹尾根などに比べ道はあるが自然のままという状況なので、地図とコンパス、登山アプリやGPSを使用したほうがよいでしょう。
この山は、北の臼杵山・刈寄山と併せ戸倉三山とも呼ばれ、この3つの山を結ぶ縦走路は地図とコンパスを使った登山の練習ルートといわれています。

各登山ルートのアップダウン状況




























赤いマーカー(ピークを表します)が多数あって見えにくいですが、南北の縦走ルートは、緑色のなだらかな部分が多い(とくに醍醐丸にいたる南半部)状況で、急登部分は一部だけとなっています。

東へ行く縦走ルートには、赤いマーカーが多数あります。
ひたすらアップダウンが続き、そのしつこい繰り返しであることが分かります。
登山初心者向けの山といわれますが、なかなかきついルートですね。

ヨメトリ坂ルートは、最初と最後が急登です。

拡大その1(東ルート)








ピークとピークの間は、西半部では急登(ピンク色)が多いのに対し、東半部ではなだらかな部分(緑色)が多い模様です。
しかし、13か所のピークの上り下りがあります。

拡大その2(北ルートと、北西ルート)




北ルートは、急登あり、なだらかありです。


北西ルート(ヨメトリ坂)は、急登部分が比較的長いです。
ただここはいわゆる点線部分の難路になっています。









拡大その3(南ルート)






ここは、なだらかな部分が比較的長く、ハイキング気分で楽しめる箇所です。

急登部分もしっかりとあります。











各登山ルートの分岐状況

<東ルート>














まさに、分岐の連続です。
赤い線は、尾根です。(道ではありません)

このルートは、山頂以外にはしっかりとした標識がありません。
(木に結ばれたテープや塗られた印があるという情報がありそれはそれで有り難いのですが、そういうものに完全に頼るのは危険だと思います)
地図とコンパス、登山アプリやGPSが必須で、地図とコンパスを使ったルート選択の練習に使えるというその理由が、これでしょう。

この地図を見ると、市道山の構造がよく分かります。
山頂から東に2.7キロメートルの距離で伸びる東西尾根と、そこから南北に延びる多数の支尾根という形です。
東京都のこの地域の山の特色が現れていて、高尾山系、その北の北高尾山稜、要倉山系と同じく南北に並ぶ東西尾根群の一つです。
東西尾根群はここで終わりで、この北の臼杵山と刈寄山は尾根が東西につながっていない独立山系になっています。

拡大その1






この黄色いマーカーが、分岐を表しています。
私が定義する分岐とは、人が間違って踏み入れる可能性がある複数の道が分かれている地点です。
判断資料として、各種登山アプリの踏み跡記録を参考にしています。つまり実際に人がこのルート以外の道に踏み入った情報がある箇所を、ピックアップしています。

もちろんその先がバリエーションルートとして開発されている可能性は、あります。
ただ、この東西尾根では西端(山頂近く)以外は開発されていない模様です。

拡大その2










このピーク727から北に行こうとする人がいて、かなり北のほうまでバリエーションルートを開発している模様ですが、現在のところふもとにはたどり着いていません。

拡大その3
















ピーク727から南へは、ピークから距離400メートルの地点にある林道へつながるバリエーションルートがほぼ完成しています。

拡大その4


















山頂から南ルートで500メートルほど下ったところに、東に行く道との分岐点があります。
この道は、地形図には登山道として記されていますが、各種登山アプリでは主要ルートになっていません。
利用者は、少なからずいます。
この道を東に4.5キロメートル(直線距離)行くと、夕焼小焼けバス停があります。

なお山頂(ピーク795)から北東に下る谷道が地形図に記されていますが、ここも主要ルートになっていません。
しかもここは利用者がいない状況です。
利用者といってもそれは登山アプリの使用者なので、もちろん一般人の利用はあると思いますが、情報が無い場所は無理に立ち入らないほうがいいでしょう。

<西ルート>



























山頂の西側の尾根のかたちを、赤い線で示しました。
山頂から延びる主な尾根は、北に1本(臼杵山方面)、北西に1本(ヨメトリ坂)、西に1本です。
前2者は、一般的な主要登山道となっています。(ヨメトリ坂は不明瞭)

ここの分岐状況は、非常に特殊な状態にあります。示しますと・・・



























一般登山道ではない付近に、多数の黄色いマーカー(分岐に気をつけるべき箇所)がひしめいています。
どうやらヨメトリ坂が不明瞭なため、より明瞭なルートを登山者が求め、独自にバリエーションルートを開発していると推測されます。
あるいは、作業道かもしれません。

ただその多くは安全な道に達することができておらず、右往左往といった状態です。
ただ西に延び、小坂志川沿いの林道にいたる道が、1本だけ確認できます。

拡大その1















みんな西端の谷川に降りようと懸命になっていますが、多くが徒労に終わっています。
これだけではどこに道があるか分かりませんが、バリエーションルートを積極的に紹介しない方針なので、ここではヒントを3つほど書いておくに留めます。

できるだけ標高が同じところを歩いている、つまりトラバース道を模索している。
山頂から500メートル南の、東への分岐のある辺りから西にトラバース。
(トラバースは、尾根や谷を横断的に渡っている道です)
山頂から西に延びる尾根に沿ってトラバースし、その尾根から発する谷を下っている。

具体的なルートの位置は、各種登山アプリやインターネット上の資料を参照してください。
トラバース道は、標高が同じなのでアップダウンがあまりありませんが、山の斜面にあることが多く道幅が狭いのが特徴です。
非常にたくさんの人が利用しているという情報があり、道は完全な道と化している模様です。
安全に十分に気をつけて利用してください。

拡大その2























ヨメトリ坂には、黄色いマーカーがほとんどありません。
しかし、分岐は非常に多数あります。いろいろな道が錯綜する低山歩きに慣れた人向けです。
いちおうひたすら尾根を登っていけばいいのですが・・・
























急登が非常に多い道です。
尾根を行くだけなら明瞭なように思うのですが、上がっている動画を視聴すると、これはちょっと難しいルートという印象でした。
具体的には、その動画を視聴してください。<市道山ヨメトリ坂>と検索したら、出ます。

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