東京都の山々 北高尾山稜

東京都と神奈川県・山梨県の県境山稜の紹介が一通り終わったので、次は、高尾山・小仏城山・景信山のすぐ北にある尾根を紹介したいと思います。






国土地理院のweb地図に作画して引用しました。(以下の引用も同様)
https://maps.gsi.go.jp/development/ichiran.html

北高尾山稜と呼ばれる、距離8.1キロメートルのものです。
通しで歩くと、5時間40分とされています。
これは東端が八王子城跡になっていますが、JR高尾駅の西1.5キロメートル付近にも登山口があります。
それ以外にも、バリエーションがあります。

南の高尾山系に比べると、歩いている人が少ない道です。
樹木が生い茂り眺望がほとんどないこと、標識は一応あるが怪しい(笑)分岐が多いこと、道が狭く整備されていないことなどから、ハイキングに適さず、また標高700メートル以下の低山の連なりであることから登山向きではありません。
ただ近年のトレッキング(山道歩き)ブームもあって、徐々に利用者が増えている状況です。

ルートのアップダウン状況









標高10メートル以内の道が続くなだらかな道が、緑色。
小さな山の山頂が、赤いマーカー。その前後は登り降りの道です。
等高線が密で急登になっている箇所が、赤い線。
(順調な登りが赤い細い線、少しきつめの登りが赤い太い線です)

なだらかなハイキングができる箇所が多いですが、所々に山頂ピークが点在し、尾根らしいアップダウンを繰り返すという特色があります。
中程度以上の体力が必要といえます。

ルートの地形状況










この道は、北高尾山系の南端で、しかも山系の背骨部分です。
ここから、南北に多数の支尾根が分岐しています。
尾根があれば、谷があります。
(むしろ自然現象的には、谷が主役で、尾根は残りかすなのですが)

道は、東西に連なっていますが、まっすぐではなく所々直角あるいはヘアピンターンがあります。
稜線上を勢いをつけて走る用には(標識が見えにくい)、少し難度が高いでしょう。

拡大図その1















アップダウンのアップを表す色を、ピンク色に変えています。
尾根線を表す赤い色と被るからです。

八王子城跡(446メートル)の南に、道があります。
所々、直角に曲がる箇所があります。黄色いマーカーで示しています。
富士見台(550メートル)は、下るときは来た道の西隣りの道を下ることになります。

地図の等高線の密度を見ると、道の南側が急傾斜であることが分かります。
よってこの付近を東から西へ歩くときは、「左に急斜面の谷がある」と意識します。

中央付近から西の道は、尾根線の上ではなく、尾根の少し南を道が通っています。
ここを通るときは、「左に急斜面の落ち込み、右に少し高い所がある」と意識します。
もちろん尾根の上を歩いてもかまいません。安全に気を付けて、歩いてください。

拡大図その2












富士見台以西は、所々にある山頂ピークを繰り返し登り降り、登り降りを繰り返します。

その各ピーク上には、いわゆる怪しい分岐が存在します。
怪しいというのは、標識がないか、あってもよく知らないという意味です。
知っているか知らないかの差は、けっこう重要です。
人でもそうでしょう。強面の人を見かけたら「不審者かな?怪しい」と思いますが、その人と面識があれば怪しい人ではありませんね。

こういう整備されていないマイナーなルートを行くときは、事前準備が特に重要です。
この怪しい分岐の多くは、いわゆるバリエーションルート(一般登山道ではないところを登山者たちが開発した道)だったり、エスケープルート(予定の道を何らかの事情でそれ以上歩けないときに脱出する道)だったりします。
それらの道が、どこに通じているか(そこにはどんな交通手段があるか)をあらかじめ調べておきます。

拡大図その3
















拡大図その4


















このルートは西端で、県境稜線上の堂所山(731メートル)に合流します。
そのため開場峠(552メートル)を過ぎると、ずーっと登りです。
(西から行くと、ずーっと降り)

道は、北にターンしたり南にターンしたりを繰り返します。
東に行くんだ、西に行くんだ、と決めつけないようにしたいですね。

バリエーションルート状況

その1(東半部)

















この地図は、尾根を表したもので、バリエーションルートを表したものではありません。
黄色いマーカーは、バリエーションルートに誤って入り込まないよう注意するべき箇所です。

バリエーションルートは、一般登山道ではなく、地図にも載っていない道です。
登山者が自由奔放に歩き回った結果、道になったものです。
こういうルートは、その安全性が不明で、歩くには自己責任が必要です。

しかし、こういうバリエーションルートの存在を知ることには、意義があります。

バリエーションルートの多くは、尾根道です。
地図のように、北高尾山系の山々の姿かたちが明らかになります。
この山系の背骨は南端にあり、そこから支尾根が多数、北に向かって伸びています。
南側はすぐ近くに谷があるので、尾根はそこで止まります。
北側は谷が遠くにあるので、尾根がそこまで長く伸びています。

バリエーションルートは、一般登山道と合流する形になっています。
登山者たちが、一般登山道を歩きながら、探究心を持って少しずつ開発していったことが分かります。
このことから、一般登山道の各所に、バリエーションルートへの入口が開いています。
一般登山道をたどるときは、バリエーションルートへの入口に誤って入り込まないよう注意しましょう。

バリエーションルートの存在を知ることにより、誤ってそこに入り込んだとしても情報としてあらかじめ知っているので、そのまま歩いて行っても問題なく人家のある場所にたどり着けるので安心(予定していたのと違う場所に出るので、予定が狂いますが)で、冷静に間違いに気づいて引き返すこともできます。

その2(西半部)




















尾根道だからといってむやみに入り込まずに、できるだけ既存の道を利用するほうがいいでしょう。
林道が、4本見えます。

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