東京都の山々 三頭山(3)奥多摩湖から登る北ルート
どこにある?
登りがきついといわれるルートです。地形図で検証してみましょう。
国土地理院のweb地図に作画して引用しました。(以下の引用も同様)
https://maps.gsi.go.jp/development/ichiran.html
奥多摩湖南岸の浮橋から西に歩き中央の尾根を登るルートと、三頭橋付近の尾根を登るルートがあり、いずれもヌカザス(糠指)山で合流し、三頭山に至ります。
東ルートは全長4.9キロ、西ルートは4.6キロで、登山に慣れた人の所要時間は4時間半となっています。
この間の標高差は約1000メートルとなっており、都民の森から登るルートがいずれも標高差500メートルなのに比べると傾斜が急であることが分かります。
都民の森から登る三頭山は、家族ハイキング可能な低山といえます。
しかし奥多摩湖から登る三頭山は、登山にある程度慣れた人向けの中級程度の山といえます。
数年前この山で遭難事故がありましたが、初心者でも登れる山というイメージを持ちながら、北ルートを登ったように見受けられます。
イメージだけで山を見るのではなく、地形図とルートを自分で確認するべきでしょう。
ただ、この北ルートの平均斜度を計算すると、11度です。
登山としては、比較的楽な印象があります。
しかしこのようなルート距離と標高差という単純な計算レベルでは、登山準備としては不足していると言わざるを得ません。
ルートの地形状況を見ると
平坦でなだらかな部分(登山では、ご褒美と言われる場所です(笑))が、かなり長い距離で所々に点在しています。
平坦な部分が多いのに、標高差が1000メートルあるのです。
そう、このルートが急登で厳しいといわれる理由は、短い距離の登りの中に等高線の密な箇所がぎゅっと詰め込まれていることにあります。
地図を拡大して、見てみましょう。
拡大図その1
そのそれぞれの斜度を計算してみました。
しかし、リアルにはこの道は使われていません。
現在登山道として確立している道は、この地図のAから、赤い点線の尾根とその南にある青い点線で示した谷を縫うように、つづら折りにBへと登るルートです。
斜度24度を回避しているのです。
イヨ山を過ぎると、平坦な登りになります。
しかしヌカザス山への登りは、等高線がすごく密になっています。
この登り部分の距離は387メートル、標高差185メートル。斜度を計算すると、25度です。
岩場登りレベルですね。
これはプロ級の登山者なら手をつかないでも登れますが、一般登山者だと手をつかないと登れない斜度です。
<ヌカザス山の特色>
このヌカザス山は、この辺りの全ての尾根が集まっている山です。
山としての立ち位置は、三頭山よりも重要といえます。
ヌカザス山付近に、紫色が集まっています。これは何かというと
この辺りの山々で、山頂付近に岩が存在(露出)するものはこのヌカザス山だけです。
尾根が集まっているということは、谷による浸食が激しいことを意味します。
山頂付近の浸食が激しいため、土が削られて無くなり地中の岩が現れているのです。
ロープが補助具として張られているという情報もあります。
なお、西ルートは、ムロクボ尾根または丸山尾根とも呼ばれます。
ラストの27度登り(距離170メートル)は、ヌカザス山登りです。
おつねの泣き坂というのは、この西ルートを指しているようです。
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