山道の姿かたちを知る2 土俵岳

山自体の姿かたちを追究するのもいいですが、やはりこのブログは登山ブログ。
登山ルートを考察していく中で、その山の姿かちを浮かび上がらせていくのが自然の流れでしょう。

もちろん登山ルート研究の前提知識となるのが、山のかたちです。
今回は、東京都と山梨県の県境にある、土俵岳という標高1005メートルの山を観察しようと思います。


















東京都の最高峰が2000メートル越えなので、この山はちょうど中間の高さです。
国土地理院のweb地図に、作画をしました。
https://maps.gsi.go.jp/development/ichiran.html

尾根線を赤で、ふもと近くの谷を青で記しました。
なぜ頂上近くの谷を記さないかというと、頂上近くの谷は降りると危険が大きいからです。

山の本体は、南北に細長く伸びています。
北のほうが広めです。

拡大すると、
山の南半部(山梨県上野原市)





























黒い〇は、人が立ち入った形跡のある箇所です。
登山道と思われる尾根線から若干離れた辺りに、ぽつぽつと分布します。

山の北半部(東京都檜原村)





























こちらは広いぶん、所々にXが。

つまりこの土俵岳に直接アプローチするには、南からのルートと、北からのルートの2種類があります。
土俵岳が最も使われている登山ルートは、この県境の稜線尾根を歩くルートです。
しかしそれはただ人数が多いとか、街に近いとかいう立地によるものです。
ふもとの地域にとっては、南北ルートが主要な登山道になっています。

土俵岳南側ルートの検証





























南側からのアプローチルートには、山頂に直接行くルートと、東西稜線上の日原峠を経由していくルートとがあります。

前者は、中央の谷の赤マーカー地点から登るのが一般的ですが、西のピーク510を経由するバリエーションルート的な道もあります。
(ただピーク510経由の道も、その後、一般登山道に合流します)

後者は、猪丸付近から登るもので、これには林道を長く歩いていく西ルートと、林道から登山道に入る東ルートがあります。
どちらも途中で、合流します。

南側ルート迷いポイント図





























迷いポイントは、どこの登山道にも十数個以上は存在するので、ここが特に多いというわけでもありません。
他の登山道との分岐や、自然の尾根や谷との分岐、そして直角に曲がる箇所に、赤いマーカーを付けています。

拡大図その1















ピーク510の東隣りの小さな尾根から行くルートと、ピーク589に登るルートは、いずれも尾根の上に上がるためにジグザグな道をとり徐々に標高を上げています。
ジグザグ道は直角ターンの連続なので、赤いマーカーの数が多くなっています。

ピーク510は尾根も谷もないので登る道がはっきりしませんが、他のピークに登るのと同様にジグザグの道を採っているような情報があります。どういう道かは、現地で確認してください。

拡大図その2















右から2番目の(右端ルートと途中で合流する)ルートが、各登山アプリで一般登山道として紹介されているルートです。
林道を進んだ後、水平距離420メートルで240メートルの標高差(そのまま登ると30度の超急勾配に(笑))を一気にジグザグ登りで上がります。

左から2番目のルート(左端と途中で合流する)は地形図に登山道として初めから記されていますが、ここを利用する登山者は少ないという情報があります。
理由は不明です。
たまたま少ないのかもしれないし、過去の登山者たちの好みから外れたのかもしれません。
ここは、初めに乗っかった尾根から北側の他の尾根2つに渡っていくルートです。
尾根、谷、尾根、谷と渡っていくのは、急斜面の途中の道の歩きであり、平坦な道ではありますがなかなか厳しそうですね。

右端のルートは、ピーク710を回避しています。
登っている人もあまりいないという情報があります。

拡大図その3















東西両ルートが、それぞれ合流したのちの経路です。
尾根道を登っていきます。

拡大図その4

















ラストの登りです。
西側のルートは、急登ですね。

東側のルートは、ピーク917の手前でトラバース道となり、日原峠を経て稜線尾根へ。
西側ルートに比べると、やや緩やかです。
東側ルートが一般登山道とされている理由は、ここら辺にあるようです。

土俵岳北側ルートの検証





























北側の登山ルートも、土俵岳山頂に直接アプローチするルートと、東の日原峠を経由して東西稜線を行くルートの2つがあります。
ピーク626を経由し、日原峠に登る東側のルートが、一般登山道とされています。

西側のルートもそれなりの利用があり、また途中で東に分岐して西側のルートに合流する道もあります。

北側ルート迷いポイント図





























顕著な迷いが、2か所で発生している模様です。
そのうち東側ルートの途中で、東に大きく迷い込んでいるものがあります。ピンク色で示している線です。
矢印の向きから見るに、下りで発生しているようです。
恐らくふもと付近でルートが東に少しターンする箇所があるので、そこと間違えたのだろうと推測できます。
ここのルートは南側ルートより、少し距離が長めです。自覚している走行距離と実際の距離がずれていたのかもしれません。

拡大図その1
























西側ルートの登り序盤です。
東から尾根に登り、その後、尾根道を行きます。

拡大図その2

















東側のルートの登り序盤が見えてきました。
尾根の上に、ジグザグに登っていきます。

西側ルートに、迷っているピンク色の線を記しています。
南に登る登山道に対し、東にトラバースする林道があります。
目標は山に登ることなのに、なぜか平坦な道を選んで失敗しているようです。

拡大図その3


















この図で東側の迷いルート(ピンク色)の出所が尾根線になっていますが、正確にはその左の登山道から出ています。

西側のルートは、この地形図に初めから記されていますが、実際は赤い尾根線を利用する人が多い情報があります。
地図に登山道として記されていても、現場の状況により歩く道を選択する必要がありますね。

拡大図その4


















東側のルートは、尾根の西の斜面を通っていたのですが、山頂が近づくと尾根の上に登ります。
土俵岳の北東・北西の2つの尾根は、山頂の少し北付近ではなだらかです。

ピーク934を経由せずに西側ルートが東に分岐して東ルートに合流する道が、初めから地形図に記されていて、しかも実際に利用者が多い情報があるのは、平坦部分が多いからでしょう。
東側ルートは、標高が同じくらいの斜面の道を進んでいきます。

拡大図その5
























ピーク934のルートはそれほど急登ではないのですが、この斜面を行き日原峠に合流する東側ルートの利用者が比較的多いという情報があります。
かなりの急斜面を行くので、道がかなり狭くなっている状況です。足元には注意が必要です。


(斜面を行く道の例)
これは、右に高いところがあり、左に低いところがあります。右が尾根で、左が谷ですね。

谷に沿った道を行っているという意識を持ちながら、歩きましょう。


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