いま話題の富士山の山頂と、各ルートの地形状況

今年が特に事故が多いというわけではなく、毎年事故が多発するのが富士山の特徴です。
なにせ標高3776メートルの超高山で、さらに円錐型で登りやすいため急ピッチ登山による高山病が頻発します。
しかも山頂は、普段でも台風並みで、台風が来ると竜巻並みの暴風になります。
高山で低温であるところに、さらに強風。低体温症の危険もあります。

そして、富士山の山頂の地形はどうなっているかというと・・・・・


























こうなっています。
国土地理院web地図に、作画しました。(以下の引用も同様)
https://maps.gsi.go.jp/development/ichiran.html

赤いマーカーがところどころに付いているルートが、巨大火口の周囲をぐるりと一周するいわゆるお鉢巡りルートです。
他の山の紹介では見慣れない茶色の線が、いっぱいありますね。
崖です。

火山の特徴として、山体が火山灰や火山礫でできています。
とても崩れやすく、風化しやすいです。
あちらこちらに「!」というマークがあるでしょう?雨崩といわれる箇所です。
水が染み込むことで崩れた箇所です。

低山だと樹木があるので、それが保水力を発揮しさらに地面を固めるため、風化や浸食の進みは鈍くなります。
しかし3500メートル超。樹木は一本もありません。

山頂を歩くルートの両側は、崖。
足を踏み外して転落すれば、良くて大怪我、命の危険があります。


















登山ルートの地形状況

<吉田ルート>



























このルートは、基本的に尾根を通っています。
富士山に尾根があるのか?あります。
尾根というのは、水が流れて浸食された結果、残った箇所です。

傾斜がきついため、ルートの大半がジグザグです。徐々に標高を上げていくスタイルです。

そして地形は。
紫色は、岩。茶色は、崖。

六合目に岩が出現しますが、少しだけで基本的には土の部分です。
七合目付近から、岩が本格的に出現し、ルートの状況に影響を及ぼしています。
七合目を過ぎると、再び岩が少なくなり、土の地面に変わります。
八合目付近にも岩がありますが、ルートが崖上に移ったため、岩のある地帯は崖下(ルートの北)になっています。

八合目付近の須走ルートとの分岐点、拡大




















左(西)端に南北に連なっている道が、登り道です。
崖の上に登っているのがよく分かるでしょう。

八合目の南に東西に連なっている道が、下り道です。
須走ルートと道を兼用しているため、中央の赤いマーカー付近で道迷いが発生しやすくなっています。
この赤いマーカーの箇所を突き抜けて直進すれば、下り道に行けます。
しかし右(南東)に直角に曲がってしまうと、須走ルートに行ってしまいます。

この道迷いを防ぐには、「自分は今、須走ルートと兼用する道を歩いている」という意識を持つ必要があります。
兼用しているから、適当な箇所で左にターンする必要があることを認識します。
でも一番の予防法は、あらかじめ行く前に地形図でルートを調べ、そのルートの屈曲の状況や目印などを下調べしておくことです。
もちろん地図とコンパス、登山アプリがあれば、正確な方向が分かるので最も良いのです。

<富士宮ルート>




























静岡県側から登っていく道の1つです。
吉田ルート(六合目から5.6キロメートル)より、距離が短い(六合目から3.6キロメートル)特色があります。
つまり平均の傾斜角度が、吉田ルートよりきついです。吉田ルートに比べ登山者の発病頻度が多いのは、こういう理由があります。

ルートの地形状況


茶色は、崖。

紫色は、岩。


七合目が2つあったり、九合目が2つあったりと戸惑いますが、地形図で見ると、
最初の七合目は「六号五勺」とあり、つまり6.5合目です。
2つ目の九合目は、「九合五勺」ですね。
















七合目・八合目の拡大



七郷目を過ぎて少しすると、岩場になります。
そこを通り、崖の上に登り、岩場を過ぎると八合目。

八合目は、岩場の真っただ中にあります。


















<須走ルート>










「走」という字から、砂走りのルートだと誤解されることがあります。
一部にそういう箇所もあることはあります。

ルートの地形状況









岩場は、六合から本七合の間に少しある程度です。
六合目までは、樹木の多い山道です。小さな分岐が各所にあり、迷う人もいます。

五合目から六合目の拡大その1












拡大その2













<御殿場ルート>



















4ルートの地図のうちこれだけ色が違うことから察することができますが、このルートは非常に長距離です。
下りルートに、有名な大砂走りがあります。しかしこれを楽しむには、ここを容易に登れるだけの強い体力が必要ですね。

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