山の姿かたちを知る2 陣馬山(東京都・神奈川県)
今回は、陣馬山の姿かたちを検証します。
陣馬山といえば、「東京方面から高尾山を起点とした縦走路の並びの山」というイメージが強いと思います。
このような地図をよく見かけるでしょう。
私も、陣馬山を紹介するとき、この国土地理院web地図のこの箇所を開き、このように作図してここに引用したくらいですから。
https://maps.gsi.go.jp/development/ichiran.html
陣馬山は、東京都八王子市の西端、神奈川県境にあり、景信山から尾根でつながっています。
その間、14か所のピークがあり、そのアップダウンを楽しむ、距離5.7キロメートル、所要時間(登山慣れした人)2時間20分の縦走路となっています。
(日本人は、古来、馬が大好きです。
陣馬山頂の馬に会いに行こうというのは、とても魅力的ですね)
それでは、この陣馬山に赤い尾根線を書き込んでみましょう。
尾根線は、山のいわば体幹です。
(本当は、谷が、山のメインイベントです。谷は降った雨が流れ下ることにより削られた場所で、尾根は削られていない残りの場所だからです)
陣馬山の体幹の、実に90%以上が神奈川県域にあります。
東京都内にある尾根線は2本、県境と重なる尾根線が2本。あとは全て、神奈川県にあります。
陣馬山は、「神奈川県の山」といって差し支えありません。
縦走路を経ないで陣馬山に直接登る登山道は、全て神奈川県側にあります。
<陣馬山登山、一の尾根ルート>
これ以外の登山ルートとして、栃谷から登っていくルートもあります。
ルート上に赤いマーカーを多数書き加えました。
私が登山ルートを調べるときに必ず使うのがこの赤いマーカーで、道迷いしやすいポイントを表しています。
このポイントの見きわめは、容易です。
ルートと自然の尾根や谷が出合うところ、および、ルートが不自然に直角またはヘアピンに曲がるところです。
誰でも楽しみ(山や登山ルートの姿かたちを知る楽しみ)ながら簡単にできる作業なので、登山の準備ツールとしてお勧めします。
拡大図その1
これにより、より細かい地形を把握できます。
尾根に登った時、右にターンしています。そのまま直進すると、等高線に沿ったトラバースになります。
こういうトラバースルートに人は入り込む傾向があり、道迷いの一つの原因になっています。
現に踏み跡も付いているようです。
こういう道は、間違って行く人も多いですが、山中の作業用の道の可能性もあります。
(その先は、針葉樹林帯。つまり管理された人工林の可能性がある)
作業の際はなるべく平坦な行き来をするので、こういうトラバース道が有用です。
拡大図その2
ピーク507に登る道は、等高線の幅が比較的広く楽なように見えます。
しかし等高線の幅が広いということは、トラバース道が存在する可能性が高いことを示しています。
私は、ここに3つの赤いマーカーを付けています。
迷いやすいポイント群です。
ピーク507のある500メートル等高線で囲まれた辺りは、一見広々とした平坦な地形のように見えます。
しかしその等高線の屈曲から見て、中にアップダウンがあります。
等高線の幅が広いところは小ピークです。狭いところはコル(ピークとピークの間の低いところ)です。
こういう地図に書いていない隠れた地形の読み取りも、地形図ならではの楽しみの一つです。
拡大図その3
ここは前半は等高線の幅が広く、急登ではありません。道もほぼまっすぐです。
後半になると等高線の幅が狭くなるので、登山道は今回は尾根を直接登るのを回避し、北東方向にトラバースしながら徐々に登っていく道を選択しています。
急登あり、平坦ありと変化を楽しめるルートになっています。
ピーク620そのものは巻いています。もちろん、注意しつつ登ってもかまいません。
急登区間は、一部しかありません。
一の尾根から登り、ここを下りに使う登山者が多い模様です。
赤いマーカーの数が非常に多いですが、整備されているので迷うことはほとんどないでしょう。
その先に道が有る可能性もありますが、あらかじめルートを把握しないで入り込むのは避けたほうが良いです。
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