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山道の姿かたちを知る3 丸山

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丸山、と言っても、それは全国各地に普通にある名前です。 今回紹介する丸山は、高尾山から雲取山に至る県境山脈の中にある、東京都檜原村と山梨県上野原市の境にある山です。 東は生藤山・熊倉山・土俵岳で、西は少し離れて槙寄山・三頭山です。 かなりローカルな場所をやっていますが、ブログの方針としては人口の多い県順に、山名が付いている山々を採り上げるという方向です。 名前が付いている山には、一度は登ってみたいと思うでしょう。 どんな山かな?と、興味もそそられると思います。 だから今は、東京都の山々をやっています。伊豆諸島や小笠原諸島の山々も、含みます。 国土地理院のweb地図に作画して、引用しました。 https://maps.gsi.go.jp/development/ichiran.html 丸山の位置は、小さな赤いマーカー群があるところです。 高尾山の西北西19キロ。 ちなみに高尾山の東19キロには、立川市があります。 丸山への登山ルート 丸山は、標高1098メートル。 南に2ルート、北に2ルートの、一般登山道があります。これ以外にも、バリエーションルートがあります。 また東や西から、県境山脈の稜線を縦走してアプローチするルートが、あります。 丸山の山頂に直接アプローチするルートは南からの1つだけで、それ以外は県境山脈の東西の2つの峠を経由するルートです。 ローカルな地域なので登山者が少ないかと思いきや、大手動画サイトに挙げられている本数は3,4本確認できます。ほとんどは縦走路の一部ですが。 南ルート1(山頂に直接) 富士急行バスの日寄橋バス停(上野原駅から35分)付近から上がっていくルートです。 拡大図その1 神社のある谷を詰めていき、途中北西に分かれる谷に進みます。 本来は西にある尾根や東にある尾根の上に登りたいところですが、かなりの急傾斜なので、まずは入りやすい谷に沿ったルートへ迂回しています。 その谷も詰めていくと急傾斜や滝があるので、それを巻くようにして進んでいます。 拡大図その2 谷のルートがこれ以上進めないので、西のピーク641に上がります。 ここも斜面の直登は無理なので、徐々に標高を上げていくルートで尾根の上へ行きます。 ピーク641のある尾根はやがて北隣りの尾根に吸収されるので、そちらに歩を進めます。 しかし登山ルートはその尾根を登らずに、北の谷を渡って

いま話題の富士山の山頂と、各ルートの地形状況

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今年が特に事故が多いというわけではなく、毎年事故が多発するのが富士山の特徴です。 なにせ標高3776メートルの超高山で、さらに円錐型で登りやすいため急ピッチ登山による高山病が頻発します。 しかも山頂は、普段でも台風並みで、台風が来ると竜巻並みの暴風になります。 高山で低温であるところに、さらに強風。低体温症の危険もあります。 そして、富士山の山頂の地形はどうなっているかというと・・・・・ こうなっています。 国土地理院web地図に、作画しました。(以下の引用も同様) https://maps.gsi.go.jp/development/ichiran.html 赤いマーカーがところどころに付いているルートが、巨大火口の周囲をぐるりと一周するいわゆるお鉢巡りルートです。 他の山の紹介では見慣れない茶色の線が、いっぱいありますね。 崖です。 火山の特徴として、山体が火山灰や火山礫でできています。 とても崩れやすく、風化しやすいです。 あちらこちらに「!」というマークがあるでしょう?雨崩といわれる箇所です。 水が染み込むことで崩れた箇所です。 低山だと樹木があるので、それが保水力を発揮しさらに地面を固めるため、風化や浸食の進みは鈍くなります。 しかし3500メートル超。樹木は一本もありません。 山頂を歩くルートの両側は、崖。 足を踏み外して転落すれば、良くて大怪我、命の危険があります。 登山ルートの地形状況 <吉田ルート> このルートは、基本的に尾根を通っています。 富士山に尾根があるのか?あります。 尾根というのは、水が流れて浸食された結果、残った箇所です。 傾斜がきついため、ルートの大半がジグザグです。徐々に標高を上げていくスタイルです。 そして地形は。 紫色は、岩。茶色は、崖。 六合目に岩が出現しますが、少しだけで基本的には土の部分です。 七合目付近から、岩が本格的に出現し、ルートの状況に影響を及ぼしています。 七合目を過ぎると、再び岩が少なくなり、土の地面に変わります。 八合目付近にも岩がありますが、ルートが崖上に移ったため、岩のある地帯は崖下(ルートの北)になっています。 八合目付近の須走ルートとの分岐点、拡大 左(西)端に南北に連なっている道が、登り道です。 崖の上に登っているのがよく分かるでしょう。 八合目の南に東西に連なっている道が、下り道です。 須走ルー

山道の姿かたちを知る2 土俵岳

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山自体の姿かたちを追究するのもいいですが、やはりこのブログは登山ブログ。 登山ルートを考察していく中で、その山の姿かちを浮かび上がらせていくのが自然の流れでしょう。 もちろん登山ルート研究の前提知識となるのが、山のかたちです。 今回は、東京都と山梨県の県境にある、土俵岳という標高1005メートルの山を観察しようと思います。 東京都の最高峰が2000メートル越えなので、この山はちょうど中間の高さです。 国土地理院のweb地図に、作画をしました。 https://maps.gsi.go.jp/development/ichiran.html 尾根線を赤で、ふもと近くの谷を青で記しました。 なぜ頂上近くの谷を記さないかというと、頂上近くの谷は降りると危険が大きいからです。 山の本体は、南北に細長く伸びています。 北のほうが広めです。 拡大すると、 山の南半部(山梨県上野原市) 黒い〇は、人が立ち入った形跡のある箇所です。 登山道と思われる尾根線から若干離れた辺りに、ぽつぽつと分布します。 山の北半部(東京都檜原村) こちらは広いぶん、所々にXが。 つまりこの土俵岳に直接アプローチするには、南からのルートと、北からのルートの2種類があります。 土俵岳が最も使われている登山ルートは、この県境の稜線尾根を歩くルートです。 しかしそれはただ人数が多いとか、街に近いとかいう立地によるものです。 ふもとの地域にとっては、南北ルートが主要な登山道になっています。 土俵岳南側ルートの検証 南側からのアプローチルートには、山頂に直接行くルートと、東西稜線上の日原峠を経由していくルートとがあります。 前者は、中央の谷の赤マーカー地点から登るのが一般的ですが、西のピーク510を経由するバリエーションルート的な道もあります。 (ただピーク510経由の道も、その後、一般登山道に合流します) 後者は、猪丸付近から登るもので、これには林道を長く歩いていく西ルートと、林道から登山道に入る東ルートがあります。 どちらも途中で、合流します。 南側ルート迷いポイント図 迷いポイントは、どこの登山道にも十数個以上は存在するので、ここが特に多いというわけでもありません。 他の登山道との分岐や、自然の尾根や谷との分岐、そして直角に曲がる箇所に、赤いマーカーを付けています。 拡大図その1 ピーク510の東隣りの小さな

山道の姿かたちを知る1 熊倉山~土俵岳

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今回は、山の姿かたちではなく、登山者が歩いていく山道の姿かたちを国土地理院の地形図で観察し、作図を加えて検証していきたいと思います。 https://maps.gsi.go.jp/development/ichiran.html 今までのブログ回でも、登山ルートを地形図で調べ、迷いやすい箇所の指摘は続けてきました。今回は、そのルートに特化してみたいと思います。 今回取り上げる山道は、東京都と山梨県の県境にある、稜線の道です。 県境には、こういう山々のはっきりとした連なりが使われることが多いです。 はっきりとしているといっても、それはこのように地図に色を付けて作図しているからであって、リアルの場所では必ずしも明瞭とは限りません。 (きれいな稜線の例) ルート上の迷いやすい箇所に、赤いマーカーを付けています。 非常にたくさんあることが分かるでしょう。 これ以外にも、地形図に現れない、隠れた小さな分岐が多数あります。 拡大図その1 登山者が誘い込まれやすい道には、尾根道と谷道があります。 「下山するには、谷に降りればよい」というような言葉を聞きますが、それはふもと付近の話です。 こういう稜線に近い場所で谷に降りるのは、途中に滝があることが多く、非常に危険です。 「下山するのに、尾根が最適」というのも、一概に正しいとはいえません。 踏み跡が多数ある尾根ならまあまあ安全かもしれませんが、踏み跡がほとんどない尾根だとそもそも立ち入ってはいけないことを示唆していると思います。 危険を覚悟して未踏の道を開拓するというのなら、行ってもいいです。 「?」マークがついている北のほうの谷が、あります。 人が立ち入った情報のある場所です。 しかし何度も言っていますが、どういう気持ちで立ち入ったのかが不明です。迷った結果なら、最悪でしょう。 同じく「?」がついている南に行く尾根がありますが、このルートは熊倉山の回で書いた通り動画にも上がっているルートです。 このように、人が立ち入ったという情報を入手しても、その他の様々なソースから情報を入手するように努め安全性を見極めることが必要です。 拡大図その2 最近発表された某登山アプリの便利な機能の運用方法からも分かることですが、分岐点の上に立って方向を見定めるのではなくて、分岐点の手前で立ち止まって見定めることが肝要です。 特にコンパスを所持していな