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5月, 2025の投稿を表示しています

道迷い事例(2023年発生)の検証 2 三重・雨乞岳

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雨乞岳については、1年くらい前に一度投稿した記事がありますが、そのときは山全体を考察しませんでした。 今回は、山を考察しつつ、各ルートの状況を見るつもりです。 参考資料:豊川山岳会の道迷い遭難事例 https://toyokawa-ac.jp/      ヤマレコ https://www.yamareco.com/   雨乞岳の地図 地図は、国土地理院のweb地図に作画して引用しました。(以下の引用も同様) https://maps.gsi.go.jp/ 凡例  黒い点線の印字=登山道  緑色=ピーク(山頂)  オレンジ色=崖  赤い線=尾根(実線は明瞭なもの、点線は不明瞭なもの)  青い線=谷沢(同上)  斜めに入っている赤い点線=磁北線 雨乞岳の姿かたち 東西南北に尾根が連なっています。山脈群の中の一つの峰です。 ふもとからのアクセスは、主に、東ろく、西ろくになっています。 東ろくの利用者が多いのは、自動車で登山口にアクセス可能な道(鈴鹿スカイライン)が整備されているからです。 登山ルート 1 北西の甲津畑町から谷を登ってきて、杉峠から山頂に至るルート 2 東の武平峠から谷または尾根を登ってきて、東雨乞岳から山頂に至るルート   尾根を登り下りするルートは、バリエーションルート   (谷・尾根を周回するルートが近年多くなっている)   (コクイ谷経由のルートは、バリエーションルート) 3 南の清水頭登山口から登り、南雨乞岳を経て山頂に至るバリエーションルート 4 南の甲賀市の大河原橋から登り、南雨乞岳を経て山頂に至るバリエーションルート 道迷いが多発しているルートは、このうち2の東から登ってくるルートです。 今回は、この道迷いの本丸ルートを検証してみます。 武平峠から山頂へ登り下りするルート(クラ谷ルート) その1 標高877メートルの場所が、武平峠です。 ここから西に300メートル歩いたところが、登山口になっていて近くに駐車場もあります。ここから北に行きます。 最初の取りつき 尾根をつづら折りで登っていくルートですが、ショートカットして尾根を直登する人もいます。その選択は、お好みです。 ところが、直登したその勢いでそのまま尾根を登っていき、道迷いすることが見られます。 道迷いを防ぐには、事前に地図でルートを精査しておくことが必要です。 挙がっている動画...

道迷い事例(2023年発生)の検証 1 佐渡・金北山

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 豊川山岳会が公表している道迷い遭難事例を参考に、それぞれを地図をもとに検証していきます。 https://toyokawa-ac.jp/ 登山者のルート選択状況は、登山アプリ「ヤマレコ」を参考にしました。 https://www.yamareco.com/ 今回は、佐渡にある金北(きんぽく)山(標高1172メートル)で発生した道迷い遭難を採り上げます。 山の概要 国土地理院のweb地図に作画して引用しました。(以降の引用も同じ) https://maps.gsi.go.jp/ 凡例  黒い点線の印字=登山道  緑色=ピーク(山頂)  オレンジ色=崖  赤い線=尾根(実線は明瞭なもの、点線は不明瞭なもの)  青い線=谷沢(同上)  斜めに入っている赤い点線=磁北線 となっています。 状況 山の南西麓には自衛隊や防衛省の施設があり、山頂にも防衛関連の建物があります。 山頂に至る登山道は、南からのルート2本と、西からのルートと、東からのルートです。 東からのルートは、ドンデン山から連なる稜線上を行く縦走路です。 道迷いをした箇所 今回道迷いが起きたのは、南からのルートにおいてです。 栗ヶ沢登山口、姫が沢登山口、沢口登山口から来るルートです。 <主な登山ルートの状況> この南からのルートは、標高678メートルのピークの北西ろくで、北へ行くルートと、東へ行くルートに分岐します。 東へ行くルートは、その後、北に方角を変えて山頂を目指します。 この南からのルートのうち、西を行くルートは地形的に谷沢(ただし不明瞭)を利用したルートといえます。 それに対し東を行くルートは、尾根を利用したルートであることが読み取れます。 <ルートの傾向> 登山者数の状況を調べると、東を行くルートのほうが人数が多く、この標高678メートルのピークの北西ろくの分岐点で多くの人が東にターンしています。 今回採り上げる道迷いは、この分岐点(東に曲がる場所)を間違えたという事例です。 道迷いをした地点の拡大地図 凡例 A・Bの緑色のマーカーは、登山道同士の分岐点を示しています。 aからfの赤色のマーカーは、迷いやすい地点を示しています。 ルート説明 Aで東の分岐道を選択し、Bで東からの道(横山登山口から来るルート)と合流して山頂を目指すのが比較的多数の人が登っているルートです。 地図では、他に道が無く...

東京都の山々 あきる野市の山々3 金比羅山と金比羅尾根

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 前回からだいぶ時間が空きましたが、今回はあきる野市の西部にある金比羅山(標高468メートル)を紹介します。 はじめに 前回までの投稿は、登山道の紹介のみにこだわっていました。 このブログの目的は、道迷いを防ぐとともに、山の姿かたちを明らかにしていくものです。 もちろん、山の姿かたちは人の存在あってのものであり、人が居なければ登らなければ山は単なる地面の盛り上がりでしかありません。 そこで今回以降は、登山道を紹介はしますが、その道・ルートから見えてくるその山の姿かたちを、山への畏敬を込めて明らかにするような内容で行こうと思います。 地図は、国土地理院のweb地図に作画して引用しました。(以下の引用も同様) https://maps.gsi.go.jp/ 金比羅あるいは金毘羅という名前の神社は全国各地にあり、香川県にある有名な神社と関りがあるか、それにあやかったものです。 付近は、山岳信仰の対象とされ、古くからの霊場といわれます。 登山道 1 五日市駅からのルート(東尾根からのルートその1) 南東方向のJR五日市線の終点・武蔵五日市駅から登るのが、一般的なルートでしょう。 駅から登山口までは1.5キロメートルあります。 登山口は、地図の右下、寺マーク(薬師堂)の付近です。 屋根に特徴のある薬師堂が見える辺りから、右に登って少し行ったところがそうです。 分岐は、東京都作製の標識が立っているので分かりやすくなっています。少し行き、左の民家に行く道と分岐して、右に登ります。 地図内の緑色のマーカーが、分岐点です。 それぞれに東京都が立ててくれた標識が付いていますが、もし標識がなかったらルートがヘアピンターン状態なのでかなり難しい分岐だったでしょう。 標識があるからこそ、気軽なハイキングコースになっています。 このルートから見える山の姿かたち 登山口への分岐をAとしました。その先の一般民家との分岐を右に分かれて登る口に、登山口があります。 この道に沿って、私が赤い色で点線を書いています。 実は、これは道に沿って書いたのではなく、等高線を見て尾根線を書いたつもりが偶然道と重なっただけです。 つまり、このAからBへ至る道は、尾根を利用した道です。 この凡例では、尾根は、赤い実線または赤い点線で示しています。 実線は、明瞭な尾根。 点線は、不明瞭な尾根です。 AからBに至る...